本テーマ「ワクチン副反応と対処法」には、新しい情報にアップデートした最新版(9月度版)もあります。
最新版(9月度版)はコチラをご覧ください。
ワクチン副反応と対処法(7月度版)↓
これからワクチンを接種するけど、どんな症状がどのくらいの頻度で、どのくらいの期間続くんだろう?
最新情報をもとに、ワクチン副反応による不快な症状を和らげる対処法もご紹介しています。
こんにちは。
ヘルスケア・アドバイザーの前田 義徳(マエダ ヨシノリ)です。
今回のテーマは、「ワクチン副反応とその対処法」です。
前回(2月20日付記事)のアップデート版として、7月5日時点までの最新情報をベースに書き起こしています。前回の記事には、年齢別とその症状の頻度など、各製薬メーカーのレポートをまとめていますので、併せてご確認ください。
現在(7月4日時点)の日本国内におけるワクチン接種状況は、人口の25%(3,162万人)が1回目の接種を終え、人口の14%(1,750万人)が2回目の接種を完了している状況です。
(出所:Our World in Data [Coronavirus Vaccinations] Japan)
同時に、気になるワクチン副反応についての最新情報も報告されるようになりました。
厚生労働省の最新版「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」(中間報告6月23日)によると、次の通りです。
中間報告の中で注目するポイント↓
- 接種部位の痛み等が、多くの方にみられた。
- 接種部位の反応の頻度は、1回目と2回目の接種で大きな差はない。
- 発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応は、2回目の接種でその頻度は高い。
- 年齢が上がると副反応の頻度は下がる。
- 男性より女性のほうが頻度がやや高い。
- ※)→年齢別による症状などの詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。
具体的に発症するワクチン副反応の頻度は?
さて、気になる副反応ですが、副反応はワクチンを接種し、体内でその抗体を作ろうと戦っている証拠(免疫反応)ですから、発熱などの副反応は少なからずあります。
しかし、接種を受ける身としては、主にどのくらいの頻度で、どんな症状が実際にでるのか知りたいですよね?
先ほどの厚生労働省のデータの中には「解熱鎮痛薬」を飲んでいた人が含まれていたので(1回目4%、2回目13.6%)、純粋に「薬を飲まないで」副作用の症状のデータがないか調べたところ、米国ワシントン大学や研究所のデータがありましたので(科学誌ネイチャー査読済論文:6月23日公開)、まとめると次のような症状と頻度になります。
「注射針を刺した接種部の痛み」を「疼痛(とうつう)」と言いますが、疼痛は、1回目、2回目ともに高頻度で表れます(1回目80.5%、2回目87.8%)。
それ以外の主な症状的には、「筋肉や関節の痛み」「倦怠感」「頭痛」「寒気」「発熱」の頻度の順で表れています。
では、実際に副反応の症状はどのくらい続くの?
同様に科学誌ネイチャー論文から整理すると、次のような結果になりました。
▶ 注射部位の痛み(疼痛)は、1回目も2回目も接種時から2時間で痛みを感じた人もいれば、最大で5日間、痛みを感じた人がいる(平均で1.5日間続いている)
▶ 気になる症状は2回目接種後の「倦怠感」で、少なくても接種後3時間後から最長で6日間、倦怠感を感じた人がいるので、気になる症状ですね。
【豆知識①】1回目、2回目ともに、なぜ、注射した接種部の痛み(腕の痛み)が続くの?
質問:1回目、2回目ともに、なぜ、注射した接種部の痛み(腕の痛み)が続くの? 回答:注射したワクチンが、接種した部位に滞留しているためです。 (なので、接種部を揉んだり、マッサージしたりしないでくださいね!) ワクチンを接種したら、私たちの身体の中では次のようなことが起こっています。 ・先ず、利き手の反対側の「上腕三角筋の中央部」に0.3mlのワクチンが筋肉注射されます。 ・ワクチンは、筋肉の中の血液を通って、肝臓や脾臓に到達し、最終的に全身循環します。 ・この輸送の時間はとてもゆっくりと進み、接種後18.8時間でワクチン濃度が半分(5,680ng/mL → 2,120ng/mL)。25.4時間後にはまだその半分程度(1,060ng/mL) ・25.4時間後の時点で、脾臓に(86.69ng/mL)肝臓に(47.2ng/L)のレベル。 このように、ワクチンが接種部に滞留しながらゆっくりと進んでいることから、接種した部位の痛みが続くことが観察されています。 (※マクロファージや他の免疫細胞内での輸送を介して発生する可能性もあります) ※これらのことから、あなたの身体自身が調整しているので、接種部を揉んだり、マッサージしたりしないでくださいね! 出所:International Journal of Vaccine Theory, Practice and Research (2021年5月10日)
【豆知識②】ワクチンは、2回目も打たないとダメ?
質問:ワクチンは、2回目も打たないとダメ? 回答:はい、2回目も接種しましょう。そして、2回目も同じ製薬メーカーのワクチンを接種しましょう。現時点では、異なるメーカー製剤の互換性があるかどうかのエビデンスもなく、まだ検証もできていません。 2回目も接種したほうがいい理由は、新たな研究によると「デルタ株に対しては、1回のワクチン接種ではあまり効果がない」ことが示されました。 研究結果によると、1回の接種では、デルタ株の中和抗体ができたのはわずか10%で、2回目の接種で95%にデルタ株に対する中和抗体ができたことが検証されています。 (2021年6月8日:ネイチャー誌に掲載) なので、2回目の接種での副反応は不快ですが、次の対処法もありますので2回目の接種もおすすめいたします。
【豆知識③】モデルナアーム?
質問:注射を打った部分が赤くはれて、かゆくなったり痛みが出たりする例ってありますか? 回答:2021年4月5日、米国医師会雑誌(JAMA)で報告された症状で、モデルナ製ワクチン接種で確認された副反応です。調査レポートによると、ファイザー製ワクチン接種では発症していません。 これは、先の副反応の症状で紹介した「疼痛(とうつう)」とは異なり、「遅発性の過敏反応」と呼ばれるもので、接種した日から1週間~9日、10日後くらいから、次のような症状があるものです。 ・痛み、赤み、腫れ、かゆみ(特に「痛み」を感じた人が多い) ・特に「痛み」を感じた人は、1回目に71.4%、2回目に78.3% また、この「遅発性の過敏反応」は、海外では3月頃に「COVID Arm(コロナ アーム)」と呼ばれていましたが、モデルナ製ワクチンのみの反応であることが分かり、今では「モデルナアーム」と呼ばれています。 そして、このモデルナアームは、接種者の0.8%という非常に稀な症状ですが、発症した方は「31歳~45歳の女性」の発生率が高いということも報告されています。(男性は、誰一人として出現せず) ワクチン接種後の7日~10日に反応するので、「あれ?虫刺され?」と思って皮膚科で受診される」ケースが多かったようですので、医師には「モデルナ製のワクチンを接種した」と申告したほうが良いと思います。 また、接種した部位側の脇の下や側面の鎖骨近くにあるリンパ節が腫れる場合もあります(当初は、この反応を「COVID Arm」と呼んでいました)。これは免疫反応が開始されていることを意味しています。完全に正常反応です。しかし、腫れを2週間以上経過しても感じる場合は、かかりつけ医に相談してください。発生率も0.8%と非常に少ないケースですが、もし出現し、痛みや赤み、かゆみが強く出た場合には、先ずは接種部位を冷やし、皮膚科を受診することをおすすめします。 ちなみに、ワクチン接種後の疼痛と同じく、お風呂で揉むなどの行為は控えてください!Not Found (404)Just a moment...
これまでのことから、ワクチン副反応で起こり得る症状とその期間が分かりました。
こうやって見てきても、やはり、副反応は可能な限り避けたいですよね?
安心してください!
今回ご紹介する対処法で、ワクチン副反応による症状が軽減できます!
症状が重くならない予防策としても参考にしてください。
おすすめの対処法
実際にワクチン接種を受ける身としては、正直、できるだけ痛みや症状を避けたいし、和らげたい!というのが本音ですよね?
ワクチンは人間の免疫系との相互作用なので、頭痛・発熱・倦怠感の他にも、動悸や胃の不快感、不眠が出るなど、個人差によって異なります。
そして、「免疫力が高い方」や「若い方」が、副反応が強く表れる報告があります。
おススメの対処法は、前回の記事(2021年2月20日)でも紹介しましたが、現時点(7月4日時点)までに分かったことや発表されたことを含めて、記事の内容をいくつかアップデートしました。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む解熱鎮痛剤も服用OKになりました
前回の記事掲載の時点では検証されておりませんでしたので、妊娠時の方やお子様にも安心といわれているアセトアミノフェン(カロナール)をご紹介しておりました。
しかし先日、アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェインなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む解熱鎮痛剤も使用して良いとなりました。(厚生労働省)
この背景には、臨床結果的にアセトアミノフェンは解熱効果は高いのですが、鎮痛効果が弱いことが理由に考えられています。そのため、鎮痛効果が高いアスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェインなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む解熱鎮痛剤も推奨されたものと考えられます。
しかし、これらのNSAIDsには、胃が痛くなったり、便秘になったりなど、胃腸障害の副作用があるため、同時に胃腸薬を処方されるケースが多いです。そのため、服用する際は薬剤師あるいはかかりつけ医にご相談してください。
このような西洋薬には副作用があることからも、漢方薬をおススメします。特に、①西洋薬は接種前の服用が推奨されていないこと。②西洋薬との服用も併用可能であること。から漢方薬をおススメしています。
ワクチン副作用を和らげる「葛根湯」
「葛根湯」だけでも飲んでおいたほうが、発熱や頭痛がしづらいです。接種当日とその次の日まで、飲むことをおススメします。接種した側の肩がダルく、重くなる感じも和らぎます。
発熱があり、「葛根湯」を服用しても熱が下がらないな~という場合に、アセトアミノフェン(カロナール)を服用してください(同時服用となっても問題ありません)。
なお、葛根湯も製薬メーカーによって生薬の量や配分が異なります。日頃より服用されているものや、薬剤師またはかかりつけ医にご相談の上ご利用ください。
一般的な用量の葛根湯はドラッグストアでもよく見かけますが、おススメの用量が入っている商品例はコチラです。
倦怠感や吐き気や胃の不快感など強い場合は「柴胡桂枝湯」
「柴胡桂枝湯」は、お腹を温めて免疫力を上げてくれる漢方です。「柴胡」という生薬が、カラダの炎症をしずめ、「桂枝(シナモン)」がカラダを温めます。
そのため、ワクチン接種後の倦怠感や吐き気や胃の不快感などの副作用を感じる場合に服用すると比較的快適に過ごせます。
柴胡桂枝湯も製薬メーカーによって生薬の量や配分が異なります。日頃より服用されているものや、薬剤師またはかかりつけ医にご相談の上ご利用ください。
一般的な用量の柴胡桂枝湯はドラッグストアでもよく見かけますが、おススメの用量が入っている商品例はコチラです。
倦怠感が続く場合には「補中益気湯」
2回目の接種で、倦怠感が強くでた場合には「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」がおススメです。
疲労倦怠など元気がなく、胃腸の働きが衰えている時に効果があります。
補中益気湯も製薬メーカーによって生薬の量や配分が異なります。日頃より服用されているものや、薬剤師またはかかりつけ医にご相談の上ご利用ください。
一般的な用量の 補中益気湯 はドラッグストアでもよく見かけますが、おススメの用量が入っている商品例はコチラです。
接種部の上腕の痛みを軽減したい場合は「治打撲一方」
何しろ、接種した部位(上腕)の疼痛をどうにかしたい、という場合は「治打撲一方(ヂダボクイッポウ)」を接種後に服用しておきましょう。
ドラッグストアでも入手可能な商品例
(※)上記、どういった漢方薬なのかイメージしやすいように、商品のバナーを貼りました。お求めの際には、薬剤師やかかりつけ医にご相談ください。
※無料版(0円)の本を読むという近道
新型コロナウイルスに感染したらどんな初期症状なのか?無症状者の後遺症とは?ワクチンへの対処法など、Q&A形式でわかりやすく解説し1冊にまとめた必読本をご用意しています。
緊急事態宣言中の期間限定で[アマゾン プライム
みんな、どうだったの? エビデンスで答える新型コロナ感染症とワクチン副反応: ワクチン接種前後の必読本
最後までご覧いただきありがとうございます。
新型コロナウイルスは日々、変異し続けており、これからもどのような症状が発症するのか不明です。そのために世界中で多くの研究がされています。
これからも可能な限り、最新データとエビデンスをもとに、わかりやすく解説してご紹介していきたいと思いますので、多少なりとも参考になれば幸いです。
ヘルスケア・アドバイザーの前田 義徳(マエダ ヨシノリ)でした。
参考文献
- https://ourworldindata.org/covid-vaccinations?country=JPN
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkoujoukyoutyousa.html
- https://www.juntendo.ac.jp/jcrtc/about/results-of-activity/COVID19/covidresearch.html
- https://www.juntendo.ac.jp/jcrtc/albums/abm.php?f=abm00036097.pdf&n=%E9%A0%86%E5%A4%A9%E5%A0%82HP%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%94%A80623_FIX%E7%89%88.pdf
- https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/chapter02/02_04_02_01.php
- https://doi.org/10.1038/s41586-021-03738-2
- https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR