コロナ初期症状 身体のだるさ・疲れ・倦怠感・もの忘れに要注意
変異株による症状は、今までの症状とは異なります。
コロナ初期症例や後遺症を学び、悪化する前に防ぎましょう!!!
こんにちは、
ヘルスケア・アドバイザーの前田 義徳(マエダ ヨシノリ)です。
1年以上続く自粛生活で、身体がだるい、やる気が出ない、倦怠感、「朝、何を食べたっけ?」ということはありませんか?
それって、本当に自粛疲れ(コロナ疲れ)なんでしょうか?
コロナに感染しても無症状だった人にも起こる、コロナの後遺症の可能性が高い。という研究レポートをご紹介いたします。
※)8月18日に出版した「みんな、どうだったの? エビデンスで答える新型コロナ感染症とワクチン副反応: ワクチン接種前後の必読本」の「後遺症」の章に関連し、【コロナ初期症状~後遺症シリーズ】第二弾として、「だるさ・倦怠感・もの忘れ」の症例を脳神経学・神経生物学の視点でご紹介しています。
コロナ初期症状例
コロナ禍で心配な病気の一つとして「認知症」があり、厚生労働省の「認知症予防・支援マニュアル」によると、人との接触が少なくなると「アルツハイマー型認知症」の発症率が高い。とされています。
1年以上も続く自粛生活で、会社や学校でも対面での会話が減っている現状では、特に認知症になりやす状態が続いている。という状況です。
つまり、 1年以上も続く自粛生活下で、アルツハイマー型認知症の予備軍である「軽度認知障害」の状態になっており、日常生活に支障がない程度の「もの忘れ」や「だるさ」が起こっている可能性が高い。と言われています。。。。。。。今までは。
発見!コロナのスパイクたんぱく質が、脳の神経障害を引き起こす!
2021年8月30日、クロアチのザグレブ大学およびザグレブ研究所そしてスロベニアの国立科学研究所が発表した論文(査読中)によると、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、脳内に存在する「モノアミン酸化酵素(MAO)」と呼ばれる酵素に強い親和性があり、この酵素と結合することによって様々な神経伝達物質の活動や化学的経路の混乱を起こし、パーキンソン病やアルツハイマー病につながる神経変性疾患を含む様々な神経学的症状が現れることを発見しました。
モノアミン酸化酵素(MAO)は、脳内の神経伝達物質であるノルエピネフリン、セロトニン、ドーパミンの除去など、神経系における生体アミンレベルや神経細胞の活動を制御する酵素です。
つまり、コロナウイルスのスパイク・タンパク質とモノアミン酸化酵素(MAO)がくっつきやすいため、結合してしまうと軽度認知障害を含む様々な神経学的症状が発症する。ということを意味しています。
コロナ感染症の一般的な初期症状である発熱や咳がない無症状の人でも、だるさ、倦怠感など自律神経系障害、軽い物忘れ、その他の神経障害などがある場合には、コロナに感染していた可能性がありますので、今後の後遺症情報などと身体の体調を照らし合わせるなど十分にケアしてください。
まとめ
今回、取り上げました「だるさ・倦怠感・もの忘れ」の症例においても、コロナ感染の可能性もあります。
また、この研究結果では、ベータ株での親和性が最も高いことが挙げられていますので、ベータ株の感染が多い地域:南アフリカ、マレーシア、シンガポールなどとの往来には注意すべき点だと考えられます。
コロナ感染症の具体的な症状や後遺症など、1冊にまとまった「みんな、どうだったの? エビデンスで答える新型コロナ感染症とワクチン副反応: ワクチン接種前後の必読本」が手っ取り早く分かりやすく書いていますので、この機会にご覧ください。
新型コロナウイルスは日々、変異し続けており、これからもどのような症状が発症するのか不明です。そのために世界中で多くの研究がされています。
これからも可能な限り、最新データとエビデンスをもとに、わかりやすく解説してご紹介していきたいと思いますので、多少なりとも参考になれば幸いです。
ヘルスケア・アドバイザーの前田 義徳(マエダ ヨシノリ)でした。
今回の研究内容にご興味がある方は、下の「豆知識」としてまとめましたので、引き続き読み進めてください。
豆知識
先ず、今回の研究チームが行ったドッキングおよび分子動力学シミュレーションにより、新型コロナウイルス野生型(WT)およびベータ株(B.1.351)(SA)のスパイクタンパク質のMAO酵素に対する親和性は、ACE2受容体に対する親和性と同程度であることが分かりました。
これにより、WT/SA&MAO複合体が形成され、神経伝達物質の基質に対するMAOの親和性が変化し、その結果、基質の代謝変換速度に影響を与え、基質のレベルをミスバランスさせることです。
今回の研究成果は、次の2つのことを初めて明らかにしたことです。
① この微細な制御が、様々な脳の病理の病因と強く関連している
② コロナ感染後の神経変性疾患の増加に、脳内MAO触媒活性の阻害が関与している可能性がある
また、今回得られた知見は、より感染力の強い変異株がさらに大きな障害を引き起こすことを示唆しており、近い将来、さらに問題のある新たな株が出現する可能性があることから、研究チームは、新型コロナウイルスによる神経学的合併症の可能性を無視すべきではなく、早期診断とタイムリーな治療介入を実現するために、今まで以上の臨床研究が必要であるとしています。
これまでの研究では、新型コロナウイルスが脳に影響を与え、永続的な神経学的問題を引き起こすことが示唆されていました。しかし、このウイルスがどのようにして様々な神経学的合併症や長期的な精神疾患を引き起こすのかについては、まだ調査中で数多くの研究がなされています。
今回の研究では、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が、モノアミン酸化酵素(MAO)に親和性を持つことが明らかになりました。
それまでに分かっていたことは、MAOレベルの変化というのは、パーキンソン病やアルツハイマー病などのいくつかの神経精神疾患の原因となっているということです。
この研究結果は、新型コロナウイルス感染者の神経疾患の発生率増加にMAO酵素が重要な役割を果たしていることを明らかにし、この2つの疾患の神経生物学的な関連性がポイントです。
MAO酵素に対するスパイクたんぱく質の結合親和性の結果、得られた新型コロナウイルスとMAOの複合体形成は、神経伝達物質に対するMAO親和性を低下させることにより、脳内MAO活性を著しく低下させることが判明しました。
つまり、今回の調査結果で、新型コロナウイルスに感染した人は、この複合体が神経変性疾患の発症リスクを高める可能性があるということです。
研究チームは、コンピュータモデルを作成し、スパイクタンパク質とACE2の結合とドッキングの特徴を評価しました。結合親和性を分解すると、スパイクタンパクのいくつかの残基がACE2の結合に主要な役割を果たしていることがわかります。
その結果、スパイクタンパク質の約15の残基が、受容体結合ドメインの受容体結合モチーフに属していることがわかり、これらの残基は、全結合エネルギーの78%を占めていました。唯一の例外はLys417で、ACE2のAsp30と塩橋を形成していたことです。
また、最も支配的な残基はTyr501で、これは新型コロナウイルスのオリジナル株(旧称:武漢株)のAsn501の変異です。この残基は、結合エネルギーの17%を占めています。
注目すべきポイントは、ベータ株のN501Y変異は、この残基の結合親和性を高め、強化するのに役立っていることです。
しかし、結合を好まないスパイクタンパク質の残基には、Asp405とGlu406があります。これらの残基は、受容体結合ドメインの受容体結合モチーフに位置していません。
今回の研究成果により、オリジナル株(武漢株)とベータ株は、ACE2を認識する点で類似していることが分かります。また、結合に寄与する残基の順番は変わらないことが示され、ベータ株のスパイクタンパク質の変異が全体の結合親和性の約70%を担っていることが示唆されていることが分かります。
研究チームは、この検証用の計算セットを用いて、オリジナル株とMAO酵素との間の潜在的な相互作用を調べ、その結果、新型コロナウイルスは、受容体結合モチーフ残基のスパイクタンパク質残基を介してMAO酵素とリンクすることが分かりました。また、MAO酵素に対する結合親和性のポイントも、感染力の強い亜種ほど高くなることが分かりました。
驚くべきことは、ベータ株では、そのスパイクタンパク質の3つの変異のすべてが「MAO-A」の結合を促進することが分かりました。変異したAsn417残基が「MAO-A」の結合に最も寄与しており、これはベータ株と「MAO-A」複合体の形成を示しています。
さらに、ベータ株のスパイクタンパク質の2つの残基、S-Leu455と変異したAsn417は、骨格のカルボニル原子と側鎖のアミド原子を利用して、「MAO A」のArg297残基と結合しているとが分かります。
この研究の結果、ベータ株は、ACE2受容体よりも「MAO B」との結合親和性が高いことが確認できます。親和性が高い理由として、「MAO B」領域のサブユニットが異なる場所に存在することが考えられます。研究者らは、両者の良好な結合が神経疾患の進行に影響を与える可能性を示唆しています。
ここでの重要なポイントは、MAOに対する高い結合親和性が、MAOと脳内アミンとの相互作用に悪影響を及ぼすことです。
MAOアイソフォームとオリジナル株との結合親和性は、フェニルエチルアミン、セロトニン、ドーパミンとの相互作用に影響します。
新型コロナウイルスがMAOの他の基質への結合に与える影響は、ベータ株ではさらに大きくなります。ベータ株は、MAOの基質に対する親和性を高め、より高い代謝分解率を誘導し、結果的に基質を枯渇させます。
研究チームのヴィアネロ博士は、「今回得られた知見は、より感染力の強いベータ型がさらに大きな障害を引き起こすことを示唆しており、近い将来、新たな問題のある株が出現する可能性があるため、新型コロナウイルスによる神経学的合併症の可能性を無視すべきではなく、早期診断とタイムリーな治療介入を実現するためには、さらなる臨床研究が必要である」と警告しています。
また、今回の研究チームは、デルタ株など新たに登場したVOC(バリアント・オブ・コンサーション)やVOI(バリアント・オブ・インタレスト)のスパイクタンパク質についても、結合親和性や神経伝達物質の乱れを分析するために、さらなる詳細な研究が進められている模様です。
再まとめ
今回のテーマで紹介した論文で重要なポイントは、現在も変異を続けている様々な変異株は異なる病因を持ち、様々な宿主(人)の細胞経路で異なる症状を引き起こしていることです。
新型コロナウイルス感染症は、均一な疾患だけでなく、数多くの長びく後遺症も引き起こしていることも理解し、注意していきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
【参考文献】
研究論文