著)ヘルスケア・アドバイザー:前田 義徳(マエダ ヨシノリ)
発熱、咳、喉の痛み。これって、コロナ?風邪?
鼻水が出るけど、「風邪」による鼻水なのか?「花粉症」によるものなのか?コロナによる鼻水なのか?
今回の記事では、オミクロン株による症状と後遺症についての情報をまとめましたので、ぜひ、参考にしてください。
※イガイガする、飲み込むのもつらいなど、「ノドの痛み」の対処法については、特設ページを設けましたのでコチラを参考にしてください。
【豆知識:ウイルスを放出するピーク】 デルタ株など従来株による感染者からのウイルスが排出される期間は、感染した日から発症日までの期間つまり「潜伏期間中」でした。特に、感染者からのウイルス放出のピークは、症状の発症時または発症前でした。 しかし、国立感染症研究所の新しい研究によると、オミクロン株においては「ウイルスの放出は、発症後の3~6日で最も多く、ワクチン接種済のオミクロン感染者の場合は、発症から10日後にはウイルスが検出されていない」ことが発表されました。 これらの新しい研究結果から、「潜伏期間が過ぎたから感染しない」という判断ではなく、「潜伏期間中プラス6日の期間中は感染する可能性がある」と理解したほうが感染リスクを避けられます。 発症した場合、発症してから6日間は、可能な限り人との接触を控えたほうが良いでしょう。
オミクロン株による初期症状の特徴は?
2021年11月にオミクロン株が最初に発見された南アフリカでの症状の特徴と、12月に入ってイギリスで確認されている症状、そして日本で確認されている症状とは異なってきています。
南アフリカで確認されている主な初期症状(頻度が高い順)
- 頭痛
- 鼻水
- くしゃみ
- ノドの痛み
- 嗅覚の喪失
- 継続する咳
イギリスで確認されている主な初期症状(頻度が高い順)
- 極度の疲労(倦怠)感
- 発熱
- 身体の痛み
- 頭痛
- 寝汗
- 鼻水
そして、日本で確認されている(国立感染症研究所)のHER-SYSデータを見ると、主な初期症状は次の頻度になってきています。
- 発熱66.6%
- 継続する咳41.6%
- 極度の疲労(倦怠)感22.5%
- ノドの痛み12.9%
- 吐き気や嘔吐2.7%
- 下痢2.3%
- 嗅覚障害や味覚障害0.8%
南アフリカなどの若年層比率が高い国、ワクチン接種比率など、国によって症状が異なっています。
また、ゲノム分析から分かることは、オミクロン株自身も変異し続けていますので、各国のオミクロン株も同一でない可能性が高く、症状も異なることも示唆されています。
いずれにしても、各国での初期症状の報告をみると「風邪の症状」の頻度が高いことが共通しています。
【注意】 報道やメディア等で「風邪の症状」や「軽症」という記載を目にしますが、オミクロン株による症状では40℃を超える発熱や、激しい頭痛や咳がある事例もあります。 「軽症」を軽い症状だと思ってしまいますが、ガイドライン上、医療現場での新型コロナウイルスでの軽症は「入院を必要としない症状」あるいは「酸素投与が必要でない症状」としていますので、決して軽い症状だと思わずに注意しましょう。
その症状は風邪?コロナ?花粉症?
【豆知識】その症状が風邪なのか新型コロナなのか見分けるポイント① 例えば、「発熱」で見分けるポイントは、「温度」「継続性」「時間帯」です。 風邪での微熱の場合、市販の総合感冒薬を服用して通常2,3日目で熱がひきます。 微熱が夜になると上がり、それが3日~5日続く場合は新型コロナというのが特徴です。 オミクロン株の場合は通常2,3日で熱がひきますが、デルタ株の場合3~5日続きます。 1月9日現在、86%がオミクロン株に置き換わっているとの発表がありますが、14%はデルタ株なので注意が必要です。 注意)10代以下で好発する「溶連菌」による発熱も、特に冬場で多く見られます。 「溶連菌」の潜伏期間は2~3日で、発熱とノドの痛み(まれに嘔吐・下痢)が特徴で、咳や鼻水などの風邪の症状はあまり見られません。
【豆知識】その症状が風邪なのか新型コロナなのか見分けるポイント② 例えば、「鼻水」で見分けるポイントは、「黄色」か?「無色透明」か?です。 ・鼻水の色が「黄色」だったら「風邪=細菌感染」の可能性が高い。 黄色くなる理由は、細菌の死骸や細菌と戦ってくれた白血球たちが含まれるからです。 ・一方のデルタ株やオミクロン株は「ウイルス」なので、無色透明のサラサラとした鼻水となります。 これらは、痰(タン)も同じで、粘り気があって色がついていたら細菌感染=風邪。無色だったら新型コロナウイルスによる感染の可能性が高いです。 ※特に、黄色、緑色、鉄さび色などの色がついた痰(タン)の場合、肺炎の可能性があります。このような色の痰があり、高熱(38℃以上)、悪寒、全身倦怠感、呼吸困難、息切れがある場合は、すぐに、下のコラム【重要】で紹介している連絡先にアクセスしてください。
【豆知識】花粉症と見分けるポイント 花粉症でも微熱や、喉の違和感、鼻水、くしゃみなどがでます。 コロナか花粉症の見分けるポイントは、鼻の中の粘膜の「色」の違いでわかります。 花粉症の場合は青白色で、ウイルスによる感染症の場合は赤くなっています。 【注意】鼻の粘膜は、とても敏感です。無理して見ないでください。 一般的に花粉症は、目のかゆみ、連続したくしゃみ、強い鼻詰まりなどの症状が同時にでます。
【重要】 オミクロン株が流行している現在、このような風邪の症状が出たら、最寄りのかかりつけ医、あるいは各都道府県が公表している受診・相談センターにご相談ください。(例えば、東京都の場合「東京都発熱相談センター」があります) また、「すぐに病院に行ったほうが良いか」「救急車を呼んだほうがいいか」など、悩んだり、ためらっている時には、#7119 とダイヤル(プッシュ)してください。医師・看護師等の専門家に電話で相談できます。(※実施エリアの確認は、厚生労働省のページをご参照ください。)
主な発症パターン
オミクロン株によって発症する主なパターンは、0日に微熱、1日目に発熱(38℃以上)、2日目に解熱し、3日目から「ノドの痛み」、4~5日目の間で「咳」などが現れ、10日目以内には症状がなくなります。 しかし、10日目前後まで「ノドの違和感(イガイガなど)」が続き、咳が出始めるパターンもあります。このパターンの発症は、イギリス保健局の調査では53%を占めていますので注意が必要です。
この「ノドの痛み」については、特設ページをご参照ください。
どのくらいで治るの?
従来のデルタ株の場合は、熱が上がったり下がったりを繰り返しながら10日~20日間続くのが特徴でした。
オミクロン株の一般的な症状は、発熱、咳、ノドの痛みですが、病院での処方薬を服用し続けてから5日目以降に治まります。
オミクロン株による後遺症は?
新型コロナウイルスは、一般的な風邪と大きく異なり、長期後遺症(LONG COVID)あるいは全身感染症とも呼ばれ、これらの後遺症を発症する恐れがあります。
科学誌ネイチャーに掲載された査読済論文によると、100日以上続く倦怠感(53%)から、数か月続く頭痛(44%)、記憶力と集中力の低下=「脳の霧」(27%)、抜け毛(25%)など、48種類の症状のうち少なくとも1つが、新型コロナウイルスに感染した人の80%で引き起っています。
オミクロン株による後遺症の追跡も始まったばかりですが、2021年12月に感染確認されたイギリス国民保険サービスの報告では、同様の倦怠感、継続する頭痛、脳の霧が、オミクロン株感染者の50%で確認されています。
また、医学誌International Journal of Infectious Diseasesの査読済み研究結果によると、感染者の13%の人が、まだ活発なウイルスを持ち続け、68日間も持ち続けている検体も確認されています。
後遺症については、多くの研究者が経過観察中です。査読済論文などが公表され次第、本ブログで随時アップデート情報を提供していく予定です。
まとめ
本記事のオミクロン株による症状と後遺症をまとめると、次の通りです。
・オミクロン株感染の潜伏期間は、3日(平均)。
・日本における主な初期症状の上位3つは、発熱、喉の痛みと咳、倦怠感。
・オミクロン株による主な後遺症(追跡観察中)は、倦怠感、頭痛、脳の霧。
新規感染者数も増加しています。従来の手洗い・マスク着用などのコロナ対策に加え、栄養補給と健康管理も続けていきましょう。